粉雪がゆっくりと舞い降りる季節。 ここは伝統と調和を重んじる街。
赤レンガを敷詰めた歩道沿いに、海外の有名ブランドが犇き合っている。
街灯が全く不要な程のショーウインドウから漏れる明かりの中、
近代的な造形とは程遠く、しかしながら品の良い石造りの建物。
小さいけれど、実に堂々と佇む1つの店。
“マルク時計店”
小柄な初老の男性が、ドアの前で佇んでいる。
少し空を見上げ、深呼吸してノックをしようと拳をにぎっている。
何やら神妙な面持ちだが・・・・・。
これはまた・・・・別のお話。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
日本人女性特有の、奥ゆかしさと芯の強さ。
そんな一面を持った凛とした女性を「ヤマトナデシコ」と言う。
・・・・・言うんですよね?
・・・・・・・・言うということにします。
TAMの会社でも、ボスの横で彼女は咲き誇っている。
ボスはナデシコのどんな部分に惹かれたのだろう。
そんな事を考えていると、やっぱり、人間の脳は未知だなぁと思う。
一般的に可愛い女性が、どんな女性かって事は理解できるが、
そんな理性を吹き飛ばしてしまう程の強烈な脳へのインパクト。
多分、それを「タイプ」と言うんでしょう・・・。
TAMが入社する時に、ボスからしつこく注意された事がある。
「社内恋愛は禁止よ~。結婚までするなら良いけどね。」
一番の心配は自分のナデシコが汚されないかって事だったのかも・・・。
「経営会議」という名の「密室イチャイチャ」を目の当たりにしている今、
“経営者(役員)に休日が無い”って言葉がよく理解できる。
最愛の人と、一日の大半を費やす「仕事」時間にイチャイチャできるのである。
仕事しながらイチャイチャ・・・・
イチャイチャしながら仕事・・・・・
イチャイチャしながらイチャイチャ・・・・
そりゃあ、休みなんてないでしょう。
TAMは究極の社内恋愛のカタチを目の当たりにしている。
イチャイチャしてても社長夫人。
ナデシコのマーケティング能力の高さが窺える。
好きな相手の前で素直に甘えられない。
そんな女性にキュンとする。
顔を真っ赤にして一人でジュエリーショップに入る。
そんな男性は格好良いと思う。
毎度毎度のことですが、TAMの個人的見解ですから、過激な発言もご勘弁頂きたいのですが・・・・・
世の自称DS男子には、ファーストフードみたいな相手なら、いらんのです!
そんな相手のスマイル、¥0でもいらないんです。
常に相手の先手を取りたいし、常に相手を喜ばせたい。
「な?俺選んで良かったろ!?」って胸張って言いたいのがDS男子なのです。
“こちらでお召し上がりでしょうかぁ?それとも、お持ち帰りでしょうかぁ?”
“ご一緒にポテトはいかがでしょうか?”
たとえお腹空いてても、プイッてします。
ドキドキ、ワクワクさせたいって、思わせて欲しいんです。
そこに必要なのは表現力やテクニックじゃなくって、
ちょっと照れながら喜ばれたら、それで十分だと思うのです。
DS男子の欲望を甘く見ないで頂きたい。
安くて便利で美味しいモノ。利用したい人はすれば良い。
DS男子は、そんなんじゃあ、満たされない。
“コンコン”
店の入り口からノック音が聞こえ、
数日前と同じキャメルブラウンのコートを着た女性が入ってきた。
「いらっしゃい。この子も貴女が迎えに来てくれるのを心待ちにしてたみたいじゃよ。」
マルクじいさんは、ベルベットのトレーに乗せた時計を差出しながら言った。
「すみません。電話でお伝えしたのですが、時計の時間のズレが直らなかったんです。」
フランが申し訳なさそうに伝えた。
「そうですか・・・・やっぱり新調しないとだめかしら・・・。」
女性が残念そうに呟きながら、トレーから時計を受け取る。
「お嬢さん、その時計は、元々はお父上が着けられていたモノかな?」
マルクじいさんの言葉に、女性は目をキョトンとさせ、少し笑いながら言葉を返した。
「えぇ。そうなんです。財産と呼べるものはほとんど無かったけど、
自分が死んだら、この時計を私に渡すようにと、母に伝えていたようなんです。」
「そうかそうか・・・やはりお父上の時計じゃったかぁ。
では、もう一つ質問させてくれるかのぉ。
お嬢さんは、今7歳位かの?」
フランが呆れた顔でマルクじいさんを見つめている。
女性は、またもや一瞬キョトンとした表情を浮かべたが、すぐさま笑いだした。
「うふふ・・・そうなんです。
私のバースデーは4年に1回しか来ないの。」
マルクじいさんは、満足そうに言った。
「その時計は、毎年お嬢さんの誕生日を祝ってくれていたんじゃ。
毎年、365日で終わらないように、時を刻んでいたんじゃ。
世間では、4年に1回だけ閏年が来て、日数や時間を「調節」しとるわなぁ。
じゃが、閏年の、その特別な一日に、愛する娘が誕生した父親にとっては、
2月29日は、ただの「調整日」なんかじゃあ、無かったんじゃ・・・。
1日1分で、年間に約6時間、4年で丸1日分。
お父上は世間より駆け足で毎日を生きて、
毎年お嬢さんの記念日を祝えるんじゃ。」
女性は、目に涙を溜めて頷いている。
「その時計は、お父上にとって何より正確な時間を表していたんじゃ。
貴女が生まれた時の事、何年たっても、鮮明に思い出しておられたんじゃないかのぉ・・・」
女性が帰った後、フランが目を真っ赤にしてマルクじいさんに言った。
「良いお父さんですよね。」
マルクじいさんは柔和な表情を浮かべている。
「あの子達は幸せじゃなぁ・・・」
「“達”?」
「あぁ・・・“達”じゃよ。」

粉雪がゆっくりと舞い降りる季節。 ここは伝統と調和を重んじる街。
赤レンガを敷詰めた歩道沿いに、海外の有名ブランドが犇き合っている。
街灯が全く不要な程のショーウインドウから漏れる明かりの中、
近代的な造形とは程遠く、しかしながら品の良い石造りの建物。
小さいけれど、実に堂々と佇む1つの店。
“マルク時計店”
小柄な初老の男性が、ドアの前で佇んでいる。
少し空を見上げ、深呼吸してノックをしようと拳をにぎっている。
何やら神妙な面持ちだが・・・・・。
これはまた・・・・別のお話。