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ガルルル・・・・。
ガルルルル・・・・。
ジャストサイズのスーツに、オシャレメガネかぁ・・・。
あだ名は“おしゃメガネン”に決定☆
おっ☆靴もキレイじゃん!
休日にも出勤って、何かの営業かしら?
そんな印象を受けながら、私は妹を呼びに行った。
階段を降りてきた妹は、いつものルームウェアでは無かった。
“・・・なるほど。”
お兄ちゃんは、ピンと来ちゃいましたよ・・・。
やっぱりね。
「おしゃメガネン」が次の彼氏候補らしい。
ふ~ん・・・へぇ・・・・。
愛車はグレーのレ○シィ・・・・。
・・・・・やっぱカッコイイなぁ。
夜桜デートに出発していく妹を見送りながら、
我が家の女性陣達が口々に呟く。
「なんか・・・何となくアンタ(TAM)に似てたね。」
ふっ・・・・ふふふふふ。
ふぅ。
もう、私は「おしゃメガネン」を攻撃出来なくなってしまった。
「おしゃメガネン」への批判は、私自身への攻撃にもなる。
妹よ・・・・楽しんでおいで。
お兄ちゃんはこの週末は楽しかったから、少々の事は気にならないのよ。
ただ・・・次に会うときは、お兄ちゃんも着替えて迎え撃つから!
ガルルルッ!
闘争心を剥き出しにしそうになった矢先、
我が家の女性陣と妹とのメールの内容を知らされた。
『“「お兄さん、カッコイイね」って言ってたよ。”だって!』
ふ~ん・・・。
さっきの人・・・・・まぁ・・・アレよ?イイんじゃない?
お兄ちゃんは、別に反対しないけどなぁ・・・。
牙剥き出しのライオンから尻尾ブンブンの子犬になりそうである。
「○○(私の名前)~!車買おうと思うんよ☆」
先日から幸せ満開の友人から電話があった。
友人は7~8人乗りのミニバンかワンボックスを購入するらしい。
不景気や買い控え、購買力・購買欲の低下なんて、ロマンチック男子には無縁です。
でっかい車で行く海や紅葉デート・・・イイじゃないですか!!
私は早速、自分がお世話になっているディーラーの担当者を紹介した。
彼女との思い出創りの為の出費。
・・・・う~ん・・・羨ましい。
男にとって、これほど幸せな出費は無いと思う。
自分が思いを寄せる相手の為に、あれこれ画策、段取り組むのはワクワクします。
「これあげたら喜んでくれるかなぁ・・・。」
「お!これ絶対アイツ似合うわ!」
「次の連休はあそこに連れて行こう!」
その為の努力なら、男性は出来るものなんです。
「恋人を喜ばせる」=「自分が最高に幸せ」
こんな方程式を、男性は誰もが持っているのです。
ただし・・・・
男性がこの方程式をずっと使えるか否かは、女性次第なんですねぇ。
うんうん。
先日は、1カ月記念日のプレゼントについて悩んでました。
私も、自分の事のように楽しんで悩ませて貰ったんです。
リング?
いや、ペアリング?
入らなかったら笑えんよなぁ・・・。
キーケース?
それが、カードキーなんよなぁ。
じゃあ、化粧ポーチは?
う~ん・・・・サイズが分からん。
思い切って旅行?
まぁ、旅行も思い出に残るわなぁ・・・
デジカメとかは?
それは、お前が自分で買って用意しとけよ。
じゃあビデオ?
子供の運動会か!?
香水?
いやぁ・・・付けない娘は付けないぞ。
ピアスとか可愛いよな?
ん?穴は空いてんの?
・・・・・いや、分からん。
あ、そういえばネックレスって色々便利らしいよ☆
おー☆王道☆
こんな感じのワイワイ幸せ相談会でした。
友人が、新車のナビシートに彼女を乗せて、楽しそうにドライブする姿を想像しながら、
ふと自分のナビシートに視線を移します。
そこには、鞄とジャケットがちょこん。
・・・・・。
ふふふ。
「乗り心地はどう?」
・・・・・。
返事は・・・・無い。
「ゴメンな。君はデートもこなせる実力があるのに・・・」
誕生してから今まで、唯の通勤車として扱われている愛車にも、
一応謝ってしまった。
“コン・・・・コンコン”
入口をノックして入ってきたのは初老の男性だった。
「いらっしゃいませ。」
フランが笑顔で駆け寄ると、その初老の男性は少し不満そうにフランを見つめた。
「随分お若いが・・・貴方がこちらのマスターですか?
腕の確かな時計職人が居ると聞いて伺ったのだが・・・・」
「それは、ありがとうございます。少々お待ち下さい。」
フランは少し引きつった笑顔を返し、奥に店主を呼びに走った。
奥の工房から出てきたマルクじいさんを見ると、
初老の男性は安心した表情でこう告げた。
「実は、ミニッツリピーターを作って頂きたいのです。」
「ミニッツリピーター!?」
フランは心の中で叫んでしまった。
フランの表情を見て、少し面白そうなマルクじいさんが
初老の男性にこう告げた。
「お客さん、うちは修理専門なんです。
悪いんだけど、時計を“作って”は無いんですよ。」
初老の男性はかなり落胆した様子で天井を見上げた。
が、次の瞬間、笑顔でこう言い放った。
「分かりました。では、また伺います。」
初老の男性が店から出た後、
フランは興奮気味にマルクじいさんに話しかけた。
「師匠、ミニッツリピーターって超複雑時計ですよね!?
通常の機械式時計の百倍以上もしますよね!
あの老人は、何故ミニッツリピーターをウチに依頼しようとしたんでしょうか?」
マルクじいさんは、いつもの柔和な表情で答えた。
「さぁのぉ。
ミニッツリピーターは、ある時間を指し示すと同時に、何とも言えん繊細な音色を奏でる時計。
道楽で所有する人も多いがのぉ・・・。
何とも言えん理由がありそうじゃの。」
その翌日の早朝、マルク時計店の入口の前でしゃがみこんで開店を待つ初老の男性。
その老人の腕には、ここから数百メートル先のブランド時計店の袋が下げられていた。